リアリストの目
3月8日に政府は短期借り入れのために3.2兆円の国債を発行した。
開けてみるや、国債人気のすさまじさであろうか、それとも国債の品不足のためであろうか。政府に利益が発生するという現象が起きている。
国債は借金であるから、常識では利息を払わなければいけないものである。それが額面100円に対して100円6銭6里と、額面を上回ったのだ。短期国債を発行した政府に利益がでたのだ。だれがそれを被るかといえば、その国債の多くを買っている銀行である。
視点を変えれば、日銀の白川総裁のときに当座預金に0.1%の利子をつけてもらったというおやつを与えられていたことを忘れてはならない。今でこそ日銀に預けるとマイナスの利子にはなるが、これまでは相当に優遇され続けてきたのだ。今回銀行は20億円ほど損をすることになったが、まだ当座預金での利子の恩恵分は、もう10回分は優にあるのだ。
この驚きの実体は、銀行の金は行き場を失っていることを白日の下にさらけだしているようだ。
格付けは低いジャンク債ではあるアメリカのシェール債に手を出すといった勇気は、とてもとても生まれそうにないのだろうか。
資本主義のエッセンスはリスクを恐れない冒険の心から新たな市場拡大へと連なる。そう考えるならば、リスクを背負う一定割合の拡大こそが醍醐味なのかもしれない。そんな根性はもはや持ち合わせてはいないのだろうか。従業員の生活がかかっているからという回答がかえってきそうだ。
By K.Wada